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2025.10.01

9月歌舞伎座、仁左衛門さん休演と復帰、そして代役した幸四郎さん

Shojo

歌舞伎座の9月「菅原~」通し上演、日程も最終盤に、
仁左衛門さんが1日程だけ休演されました。
知らずにそのチケットを握りしめて歌舞伎座入口まで
行き、貼り紙で初めて休演を知って、呆然。
新作歌舞伎であれば公演自体が数日キャンセルに
なったでしょうが、今回は長らく仁左衛門さんのみが
演じられてきた丞相役を、W配役で初役ながら幸四郎
さんが演じておられたので、休止にせず、仁左衛門さんが
丞相としてご出演予定だったAプロ昼を、他の配役は
元のまま、丞相を幸四郎さん、幸四郎さんが演じて
いる源蔵を染五郎さんと、Bプロのお二人が急遽代役に
立たれて上演するとの事で、そのまま拝見しました。

幸四郎さん染五郎さんにしても、ここまでなさって
きたBプロとは周囲が殆ど違う配役、Aプロの役者さん
たちもメインお二人が代役となれば、別の座組の
初日のようでもあり、何より客席は、仁左衛門さん
丞相をお目当てに来た観客(私を含む)がかなりいた
はずな中で、何事もなかったように演じられた役者さん
たち、さすが百戦錬磨の歌舞伎の底力、でした

そのA-dashプロ?の「筆法伝授」「道明寺」
実は、この回の前まで幸四郎さん丞相のBプロ昼回を
見ておらず、図らずも代役回が幸四郎さん丞相の初見。
「菅原~」演目での丞相を最初に拝見したのが、先代の
仁左衛門さまの国立劇場における伝説の舞台(1981年)
でしたし、当代の仁左衛門さんになってからもずっと
シングルキャストで、まさか松嶋屋さん以外の役者さんが
丞相をなさるのを拝見する日が来るとは、ましてや、
継承されるのが高麗屋さんになるとは、配役発表
されるまで予想もしておらず、想像がつきません
でしたが、拝見してみれば気品のある丞相で、幸四郎
さんのお力と並々ならぬ覚悟を感じました。
何より、ご贔屓が出られていると、ストーリーそっち
のけ?、仁左衛門さんが舞台におられれば、仁左衛門
さんにロックオン(笑)してしまうので、これまでは
「筆法伝授」も「道明寺」もちゃんと全体を見てなかった
なぁと実感(汗)
歌舞伎は古典なら、そっちのけにしてても話は頭に
入っているので割と問題ないと言えばないのですが、
今回、幸四郎さんのおかげ?で、改めて舞台全体を
俯瞰して見られ、モノガタリの解像度が上がった
気がしました。
また幸四郎さん丞相、染五郎くん源蔵の「筆法伝授」に
ついて言えば、親子でありつつ、師匠と弟子と言う
関係の二人が演じているので、ご本人たちの関係性も
二重写しになって見え、伝授する方も心配あり、
される方もプレッシャーで大変、な感じがよりリアル
でした。

その幸四郎さん、新作にも積極的と思えば、今回の
ような古典の難役から上方歌舞伎の代表作の一つ、
「女殺油地獄」にも挑まれる(勿論、教える方からの
信頼がなければできない事)、と、本当に幅広い役への
チャレンジが頼もしい。
しかもこの日だけとは言え、夜の部はスケジュール
通りAプロにご出演されたので、昼は丞相、夜は
「車引」の松王からの「寺子屋」源蔵と、主要な役ばかり
フル出演、「獨(ひとり)菅原」もできそうな勢いでした。
そして染五郎くん
ついこの間まで、「納涼歌舞伎」の新作で團子くんと
二人、「お坊ちゃま枠」で、パパや知り合いのおじさん
たちに、色々面倒みてもらってる(笑)と思っていたのが
一足飛びに源蔵とは!
普通なら「浅草」あたりで「車引」、本公演で斉世親王や
桜丸、「道明寺」輝国から、漸く松王や梅王、源蔵と
きそうなところ、W配役とは言え、幸四郎パパも期待と
スパルタが過ぎるし、何より他所のお子さんの成長は
早い (笑)

勿論、何より仁左衛門さん。
「筆法伝授」も「道明寺」も「菅原~」の中では「車引」
「寺子屋」に比べると、基本通しでなければかからない
確率が高く、そのため上演頻度が圧倒的に低く、
元々、仁左衛門さま丞相を今回見逃せない!、と言う
空気があった中での休演
仁左衛門さんもお若く見えますが、既に傘寿。
さすがに千秋楽も休演かなと心配しましたが、なんとか
休演は当該一回のみ、千秋楽は復帰され、私を含めて
ファンは、ご無理されてないかなと思いながらも胸を
撫で下ろす複雑な心境。
その千秋楽も拝見しましたが、オペラグラスは元通りに
仁左衛門さまにロックオン(笑)
登場される度に安心し、一足動かれる度にドキドキ
しながら拝見しました

しかし問題は来月と12月。
どちらも今月同様のW配役とは言え、よりによって、
来月は今月より確実に動きの多い「木の実」「すし屋」の
権太、年末の恒例南座「顔見世」も「俊寛」なので、
本当にご無理なさらないでと思いながら、1日でも
長く拝見したいと欲も出て、複雑です。

そう言えば、千秋楽の昼の部、客席に「今月ハムレット
だった方」がおいでになってました

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