ルネサンス音楽劇「ハムレット」を観る
歌舞伎から距離をおいていると言う、片岡千之助くんが
タイトルロールの舞台
歌舞伎子役の舞台は随分拝見してますが、それ以外の
舞台では初めて。
しかし、歌舞伎から距離を、と言いながら、皮肉にも
自前劇場閉鎖中の国立劇場による、主催歌舞伎公演が
よりによって真上の中劇場で、しかも古典中の古典、
歌舞伎代表的作品の「忠臣蔵」上演中。
歌舞伎とはなかなか縁は切れないと言う暗示、でしょうか(笑)
さて、本題
今回の「ハムレット」、小書(笑)が「ルネサンス音楽劇」
演出がオペラ歌手の弥勒さんで、共演者が福井さんに
花乃さん朝月さんと、宝塚トップ娘役(あとから調べたら
お二人は同期生らしい)なので、オペラまではいかないと
してもミュージカル寄りの演出だったら辛いかもな〜と
チケット取るときはちょっと心配?したのですが、
幕があけば、冒頭の城壁のシーンや。父親を「もぐら殿」と
呼ぶシーンを含めて、父王の亡霊や、何よりフォー
ティンブラスの存在自体を一切カットするなど
、
変更(省略)はありましたが、独白含めて、ガッチガチの
セリフ劇で(翻訳は松岡先生のもの)、音楽は確かに
舞台袖での生演奏でしたが、寧ろ控えめでした。
そして何しろ長くて回りくどい(笑)シェイクスピア
台詞、つい早口でのし切ってしまおう、で聞き取れなく
なっている残念な役者さんがいたり、深刻なシーンの
多い「ハムレット」で数少ない笑いを呼ぶいくつかの
せりふが、今回ことごとくきちんと聞き取れずに滑った?
のは惜しまれますが、千之助くんは流石に子役からの
舞台歴は伊達じゃない。
見事にせりふに感情をのせて、同世代の共演者とは
圧倒的なキャリアと技術の違いを見せつけて、きちんと
伝わってきていたのはお見事でした。
何より、シェイクスピアと言うと、叫ぶ感情過多な
演出の多いなか、そうでなくても伝わるのがよく
わかりました
(派手にやらない、が劇中でのハムレットさんの演劇に
対するスタンスですしね(笑))
インタビューでも書かれてましたが、生まれながらに
決められた将来に対する生き方、みたいなところで、
千之助くんには役のつかみ方というか共感されている
部分があったのかもしれません
それにしても、千之助が口にすると、普通のセリフ
なのに「茶番狂言」とか「丑三つ時」とかが、何と
なく黙阿弥先生のセリフのように聞こえてしまって
ちょっと面白かったです
またどのカンパニーも工夫(苦労)する、劇中劇は、
台詞回しが何となく歌舞伎風だったかもですが、
やりすぎず、私は好みでした
演出は舞台に並べ置かれた大きな三つの額縁風セット
だけを使うシンプルなものでしたが、「尼寺」のあと、
オフィーリアが泣きながら、払い除けられたハムレット
からの手紙を集めながら去る場面に、出番の少ない
ながらオフィーリアの感情の揺れを感じられたのが
印象的でした
また、音楽の話に戻れば、キャストが歌う曲がいくつか
ありましたが、狂気にとらわれたオフィーリアが歌う
曲は「グリーンスリーブス」が当てられていました
全体によくできていて、公演期間が短かったのが
勿体なかったです
しかし、時代考証に則っているにしても、日本人の
体形には、あの「ヘンリー8世」肖像画byホルバインで
有名な、当時の腿部分がバルーン状に膨らんだかたちの
ズボンにカラータイツ、と言う服装は、よほど背が高く、
体格ががっちりしていないと難しい気がします(笑)
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