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2025.10.18

「錦秋十月歌舞伎~義経千本桜」(第二部Bプロ)を観る

Gonta_20251018071401

Bプロ第2部。
前月のように、仁左衛門さんの休演が行ったら発表
されてやしないかとか、ちょっとはらはらしながら
伺いました。
周りにも同じようなお客様がいらして、「本当に先月は
ねぇ」とか「拝見したいけど、ご無理されても」とかの
お話声が、入場待ち列やロビーで聞こえて来ました。
気持ちは全くその通り。

演目は「木の実・小金吾討死・すし屋」
「すし屋」だけだと、権太が連れてくる「若葉の内侍」と
「六代君」の正体を、権太の両親妹だけ知らず、権太の
目論見を観客が事前に知れて、弥左衛門のひと太刀に
ため息が起きる、と言う劇構造が成立しないからか、
仁左衛門さんの時は必ず「木の実」から。

今回は権太妻・小せんに孝太郎さん、若葉の内侍が
門之助さん、小金吾が左近くん。
思えば先月、左近くんは苅屋姫で仁左衛門さんの丞相と
涙のお別れを演じていたのが、今月は呆気なく騙されて
悪態をつきまくる役なのが、何だか不思議。

孝太郎さんと仁左衛門さんの、庶民の夫婦の息のあった
やりとりは、さすが長年共演されている強みでしたし、
左近くんは今月も担うミッション(お仕えする主人の
奥方と幼児を無事に逃がす)の大きさとご自身のチャ
レンジが重なって、大立ち回りでちょっとふらっと
してましたが、大熱演。
前日まで「すし屋」のお里、Bプロ1部でも「鳥居前」の
静御前をされてもいて、ちょっと声が「若衆」より女子に
なりがちなのと、化粧が後半立ち回りの時にもう少し
色気が出るのだと良いなぁと思いましたが、もう完全
女形範疇の人で、それは凄い。
勿論、歌六さん弥左衛門、梅花さんお米、米吉さん妹・
お里、萬壽さん維盛、芝翫さん梶原と、役者も揃って、
安定の一幕でした

また今回特筆すべきは、六代君に陽喜くん、善太郎に
夏幹くんと、獅童くんの二人のお子さんが揃って、
この古典大作の子役に出演されている事。
今回、Aプロ「大物浦」に巳之助くんのお子さんが
初お目見えで出演しているように、ご子息の出演には
たいていパパも同じ演目、少なくとも同じ公演に同座
しているのが殆どの中、今月、獅童パパは歌舞伎座に
出演せず、お子さん二人だけ、はかなり珍しい。
パパが「時代もの」に余り出演がない (色々な事情で)
のも事実なので(汗)、それだけにお子さんたちだけでも、
今後も古典への出演が続くと良いなと思います。
何よりその二人のお芝居がとても良かった。

歌舞伎では子役には現代劇のような台詞を上手く言う
事は求められてなく、棒読みでも、とにかくはっきり
台詞が届くことと、劇中の行儀あたりがポイントですが、
二人とも動きはぎこちないところはありつつも、
台詞のタイミングがとても良かったですし、小金吾を
残して若葉の内侍と去る時に、歩きながら小金吾に
視線を残す六代君がとても良かったです

そして勿論、仁左衛門さん。
前半の、球や小さい息子に注ぐ愛情の深さや、憎み
きれない悪党ぶりからの、鮮やかな「戻り」。
莨入れから出した笛を吹くと、合図で維盛親子3人が
(内侍と六代君は、小せんと善太郎の着ていたものを
着ているだけに、権太の悲しみはいかばかりか)
登場しますが、この笛も元は善太郎が持っていた
もの。
この繋がりも「木の実」やるからこそ伝わるところ。
沁みました

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