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2025.10.25

大竹しのぶさん「リア」は、キャサリン・ハンターさんの「THE BEE」を思い出す

Lear

初めてのTHEATER MILANO-Za
思っていたより小ぶりで、雰囲気はコクーンにかなり
近い。
シューボックス型で、2階席でも舞台は近い。
サイド席は4階?まであり、ちゃんと椅子が舞台に
向いてましたが、聞けば座面が高く、足を床につける
のが難しいタイプらしいので、今後こちらで何かしら
観るとしても余程の事がなければ選択肢にはならない
かも(自分用覚え)
普通の座席は列で配置が互い違いになっていましたし、
足元も広く、座り心地もコクーンを思い出しました

で、「リア王」です
最近、上演が多い気がするのは、現代の超高齢化社会と
リンクする現代性が見直されているのかも
ここ1~2年に限って私が観ただけでも、段田さん版
(PARCO劇場24年)、木場さん版(KAAT24年)。
また今回は、Bunkamuraがここしばらく続けている、
海外演出家を招いてのDISCOVER WORLD THEATER
シリーズのひとつで、また、NINAGAWA MEMORIALと
銘打っての、蜷川さんトリビュート公演。
シェイクスピアなのは勿論、大竹さんに勝村さん、
横田さんに山崎さん、青山さんに宮沢さん、そして
松田くんと、蜷川さん舞台でお馴染みだったメンバーが
勢揃い。
蜷川さん舞台にはお馴染みだった客席登退場はあり
ませんでしたが、本水(雨&嵐)はもれなく、でした(笑)。

大竹さんがリア役がトピックだったので、他のキャストも
最近の海外のトレンド?で男女逆転かと思ったら、
全部がそう、ではなかったです
因みに今回ケント伯の横田さん、去年文学座の「オセロ」
以来のシェイクスピアですが、蜷川さんによる最後の
「リア」平幹さん版では使者などをなさっていて、
また今回グロスターの山崎さんは蜷川さんの平幹さん
版では道化でした
宮沢さんがスタイリッシュな服で超強気のゴネリル。
介護放棄の親不孝者ですが、カッコいいレベルに
無慈悲でヒドいヤツ(誉めてる)
この芝居の数少ない良心、夫のオルバニー公役の
大場さんも激渋かっこ良いのに、ゴネリルに圧されっ
ぱなしで、やっと終幕で一矢な状況(笑)
また、ストーリーを動かす悪役として活躍するエドマ
ンドは、成田くんの線の細さもあり、ゴネリル&
リーガン(安藤玉恵さん、こちらもパワフル)の親不孝
姉妹と、リーガンに負けず劣らず(マウント取りあい、
とパンフレットにコメントあり)の松田くんのコーン
ウォル伯爵の迫力で、何だか姉妹の回し者、あるいは
手先みたいになってしまったのはちょっとお気の毒
でした。
というか、異母「兄」エドガーとエドマンド役は、
平幹版では高橋洋くんと池内博之さん、段田さん版が
小池徹平さんと玉置玲央さん、木場さん版では土井
ケイトさんと章平さん、と静&動と言う対照的な
キャラ配役が常道のところ、鈴鹿くんと草食系男子
キャラが若干被ったのも惜しいかも

難易度高い道化は、勝村さん。
「コリオレイナス」のオーフィディアスで唐沢コリオ
レイナスと渡り合い、「シンベリン」では掴み所のない
クロートン、果てはマーロウの「ファウストの悲劇」
では、メフィストフェレスとして萬斎さんファウストと
舞台でタンゴまで踊る、と、もう蜷川さん芝居で「
困った時」の「難役」に、屡々キャスティングされていた
「最終兵器」(笑)ぶりが今回も炸裂。
意味があるのかないのか判らない存在感を発揮して
独特でした

そして何より大竹さんリア
名優に否やはないのですが、どの芝居でも常にやや
癖強め。
歯を喰い縛ってずっとずっと強いテンションで相手を
圧倒するタイプの台詞回しで場を支配する独特の
お芝居は、ちょっと他の役者さんとの違いが大きいのと、
圧に疲れてしまいがちですが、何しろ今回は「煙たが
られて」「手に負えない」「ぎゃんぎゃんと言う事を
聞かない」「頑固オヤジ」(しかも国家権力握っていた)役
ですから、寧ろ違和感上等、異物感こそ望むところ。
どんどん追い詰められるのも容赦なく、致し方ないと
思わせて納得。
個人的には小柄な大竹さんが、それほど似合うように
誂えられたとは思えないグレー系のスーツを着て登場
した途端に、キャサリン・ハンターさんが演じた、
野田秀樹さんの『THE BEE』の井戸を思い出しました
(確か、キャサリンさんもリアなさっているはず)
そう言えば、ラストでリアがコーディリアの遺体に
「この道化が」と言う戯曲の台詞がカットされずに
使われていました
この台詞がある事と、2キャラが同時に舞台に登場
しない事から、シェイクスピアが書き下ろした時は、
道化とコーディリアを同じ役者が演じたとも言われて
いるそうですが、今回、他に沢山の台詞や場面が
カットされた中で、2役の趣向でなくこの台詞が
残っていたのには演出家の解釈や何かしら意味が
ありそうですが、今のところ思い当たれていたません。
ともあれ、400年前の戯曲で既に介護問題、ファ
ミリー企業の事業継承トラブルがここまでリアルに
描かれている事は、まるで現代社会への予言のよう
です。

劇場を出れば、真ん前が西武新宿駅で、ふいに改装前の
新宿コマ劇場を思い出しました。
(休ビルではミラノ座、は、同じビルにあった映画館の
名前でした)

建物の前には池?があって若者がしょっちゅう大騒ぎ
してましたが、新宿コマ劇場自体は長らくベテラン
歌手の歌謡ショーのような公演がメインだったのが、
解体前あたりに、新感線が公演した時期に舞台に
あまり出ない江口洋介さんをゲストに迎えた「五右衛門
ロック」を観た記憶があります。
コマ劇場名物?の中央のゴージャスな廻り舞台に
乗った江口さんが、ギターを弾いていた不思議な光景と、
やたらに低かった三階のロビーの天井を覚えています。

さて、最近、新しい劇場に行く度に、ロビーのレイ
アウトとかなんか変、と文句ばかり言ってる気が
しますが(笑)、こちらも何だか不思議な具合でした。
入場にはエスカレーターしか手段がないのは仕方ない
として、一階席のロビーは広いのにエスカレーターの
着いたところの通路が細い上に、そこにも客席扉が
面していて、人がつい溜まる構造。
扉があるのは仕方ないにしても、入場時は使わない
ようにするとかしないと、他扉利用客が先に進めない。
また退場時に規制(分散)退場を休憩時間から呼び
掛けるのは良いのだけれど、肝心の導線がぐちゃ
ぐちゃ。
エスカレーター、エレベーター、階段とはっきり何の
列と言わずに出していくので、前の人についていったら
化粧室列、戻ろうとしても通路が狭くていったい
何のための規制退場なんだか(苦笑)
時差つけて出すだけでなく、その先の案内が必要
因みに客席後ろから出た場合。向かって右手先は階段、
正面がエレベーター、左が化粧室とエスカレーターと
構造的には分かりやすい。
スタッフが開演前と休憩終わりに声がけする時の
手持ち掲示に追加しておけばよいのに。
なお、公式サイトにコインロッカーや荷物預かりなしと
ありましたが、さすがにキャリー類は受付で預かって
ましたし、目視だけですが下層階にロッカーがあり
ました

しかし、この劇場はやはりマチネ専用かな

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