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2025.10.05

「ヴォルツェック」を観る(仮1)

Woyzeck

東京芸術劇場  中劇場(プレイハウス)

小川さん演出なので、当日までてっきり芸術監督を
なさっている新国立(中劇場)だと思い込んでいたの
ですが、考えてみれば新国立は「忠臣蔵」真っ最中。
慌てて行き先を初台から池袋に変更(笑)

チケットを取ってから、予習にと粗筋をネットで
調べたら、予想通り?明らかに不条理で暗い(汗)
勿論、小川さん演出作品は、「ヘンリーモス」「ここに
ある武器」「タージマハール」そして「ピローマン」まで、
「暗い」「不条理」はだいたいつきもので(苦笑)、それで
怯む訳ではありませんし、寧ろ魅力の一つですが、
見てみれば、「ピローマン」のようにリピートを諦める
程では
全くなく、逆に
「この底なしの暗さ不条理さ見せるには、この劇場は
広すぎるかも」と物足りなさを感じました。

主人公フランツの過去とかトラウマを装置、照明、
映像を使って演出するのは、小川さん作品としては
割に異色で、チャレンジだなとは思いましたが、
物語が発光させる孤独や閉塞性、判りあえなさを
際立たせるなら、せめて地下のイーストもしくは
ウエスト、叶うなら、逃げ場がない感じの懐か
しい
赤坂REDや、風姿花伝とかで、森田くんフランクを
ガンガン甚振り、ガシガシ追い詰める栗原さん&
富家さんを見たかったです(悪趣味)

一方で、実は目当ての浜田信也さん。
拝見した前作「ずれる」前々作「奇ッ怪」では、スマートな
二枚目ぶりでしたが、今回は下級ながら軍人と言う
役柄で、随分がっちりとした体つきで、猫背
デフォ
ルトの森田くんフランクとの対比が鮮明でしたし
(キーマンですしね)、
またフランクの母親と、ボランティア?と称する
資金集めをフランクの内縁の妻・マリーに強いる
フランクの上官の妻、の2役を演じる伊勢佳世さんも、
他人の痛みへの無関心さがもたらす「ハラス
メント」を
体現して、相変わらずお見事。

そしてマリー役の伊原六花さん。
舞台は初見。
一世を風靡した「バブリーダンス」をきっかけに芸能界
入りしたシンデレラガール 、くらいのイメージしかなかった
のですが、今回履歴を拝見したら、幼少期から演劇や
踊りの経験を積んでいらしたそうて、それならば
十分納得の、立ち姿や発声の良さで、この、ロクでも
ない人たちばかり登場するお芝居における、一番
観客に近い感覚を持つ人として思い入れしやすい
キャラクターをナチュラルに演じていて印象に残り
ました
主演の森田剛さんの舞台は、23年の「ロフメルスホルス」
以来。
本心が見えにくいキャラクターは今回も引き続き。
存在だけで「不穏」な、不思議な雰囲気が芝居全体を
猫背にしている感じでした。

ただ、最初に書いたように、何かに急かされ、追い
詰められ、暴発する主人公を描くには、立派な劇場の
広々とした空間は、役者さんたちが折角作り
出した
濃密な空気を、シュワシュワと薄めて拡散させて
しまっているように見えて、勿体なかったです

この公演は最初の一週間弱を東京でプレビュー的にし、
その後、各地を巡回してからまた来月東京に戻って
くる変則スケジュール。
いくつか腑に落ちない部分もあるので、本当はもう一度
見たい気がします

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