「チ、地球の運動について」を観る
離脱していたため、最初は行くか悩んでいましたが、
森山くんと成河くんと言う、新旧・「100万回ネコ」
役者であり、「花髏城」「鳥髑髏」の両天魔の共演なんて
滅多に見られるものではない、と思い直したものの
出遅れて東京公演完売で、大阪公演に行ってきました。
(後で気がつきましたが、演出はまさにその「100万
回~」の方でした)、
元々、顔ぶれから身体性で見せる舞台だろうと予想
していて、まさにその通りでしたが、一部は残酷な
シーンを身体表現の美しさで緩和する手段だった
のかも。
また、原作は地動説を研究する人たちが次々と「思い」を
引き継いでいく物語ですが、舞台では逆に物語に
唯一登場し続け、一環して地動説論者を異端として
裁き続ける森山さん演じるノヴァクを中心に据え、
彼なりの「信念」と絶望の物語、になっていました。
そこの狙いは判ったのですが、登場人物の説明や
関係性が殆ど紹介されなかったので、原作未読了者
にはやはりなかなか厳しく、また一人の役者さんが
何役か兼ねていたので、衣装はかわっていてもちょっと
混乱したりもして、何より、終わりかたがよくわから
なくて、やはり原作を頑張って読了しておくべきだった
と反省しました
成河くんは、まず、地動説を研究する隻眼の修道士・
パデーニとして登場。
常にハンカチ?で手や辺りの物を凄いスピードと手順で
拭く手先の美しさ(笑)が最初に目に止まりましたが、
ノヴァクの追及にごく冷静に対応しながら、何らかの
方法で自分たちの「成果」を後世に残す意味を語る
ものの、意外にすんなり?ノヴァクの拷問で命を
落とす。
あれ「ロミジュリ」のマキューシオのレベルで早々の
退場か(笑)、と思っていたら、しばしたら今度は
「異端解放戦線」の戦士シュミットとして再登場。
こちらは完全に脳みそ筋肉の武闘派で、ネットの
書き込みなどで話題になっていた、森本くんノヴァク
との、一対一の勝負シーンになる訳で、見ながら
「W天魔王の直線対決~」と一人で内心、盛り上がり
まくりました(笑)
お互いマントを翻しまくる姿が天魔王を彷彿とさせて
もいたし、まあ劇後半のあのタイミングに、こんな
キレキレの対決シーンとか、二人ともどう言う身体、
そしてお二方とも随分楽しそうでした(笑)
ただ、シュミットと言うキャラクターを後から原作
漫画を見たら、およそ成河くんが演じるキャラクター
とは違うビジュアルだったので、多分原作ファンの
方は「キャラが違う」と思われたかもしれません。
また、同じく特殊な身体性、で忘れてはいけないのが、
吹越満さん。
サイモン・マクバーニーの「エレファント・バニッ
シュ」を始め、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」
とか(内容はさっぱりでしたが)、かなりのベテラン
俳優さんですが、物凄いしなやかな動きと通る独特の
声は、テレビドラマで見る吹越さんから、ちょっと
想像つかないレベル。
今回も異端者から司教まで幅広い6役を、さらりと
演じ分ける中でも、最初の異端者の情けなさと、
最後に登場したアントニさんの、権力の使い方を
よくわかっている食えないオヤジ感が、同一人物
とはなかなか思えない、とにかく別格の存在感でした。
大貫さんのthat'sダンサーな身体、三浦透子さんや
吉柳咲良さんの通る声にしなやかな動きなどもそれ
ぞれ印象的でしたが、窪田さんが演じたオクジーに
ついては、台詞に印象的なものが多いし、もっと
前面に出て物語を引っ張る役だからのキャスティング
かと思っていましたが、思っていたより大人しい
キャラクターに終始したのがちょっと意外でした
終盤、新しいテクノロジーとしての活版印刷により、
地動説者は「知」の流布を、教会側は許可を与えることに
よる実利的収入の獲得と、いわゆる「Win Win」になり、
しかもこの期に及んで、「地動説者狩り」に心血を
注いできたノヴァクが教会に切り捨てるラストは、
新選組が「幕府お墨付きの最強の京都警備隊」から
単なる「時代遅れの人斬り集団」と手のひら返しに
評価が変わったのと似た感じかな、とは思いました。
原作をちゃんと読んでいたらもっと理解が深まった
だろうな、と思った一方、かなり独特な切り口での
舞台化であることは容易に理解できたので、知らずに
見たのは寧ろ原作の再現性に関してあれこれ気にせずに
済んだのかも。
信心とテクノロジーが相反する局面で悩むと言う事に
ついての物語は私など無信心な者にはよくわかり
ませんし、これに限らず、何を信じるかを強制され
従わないものには精神的のみならず、身体的苦痛を
与えてきた歴史はある、少なくとも現代は、色々
違う困難はありますが、その意味だけでも幸せだ
とは見ていて確信できました














