歌舞伎座「四月大歌舞伎」を見る
3月に続き、今月も気合の入った演目
昼は「伽羅先代萩」のアレンジ版「裏表先代萩」。
鶴千代君暗殺の毒薬調合代金をくすねた小悪人・
小助、「先代萩」と言えば、の乳母・政岡、そして諸悪の
根元・仁木弾正を(八)菊五郎さんによる一人三役
個人的にはオーソドックスな「先代萩」を「竹の間」の、
八汐を言い負かす鶴千代君が見たいのですが(しかも、
「竹の間」あっての「御殿」だと思っているので)、そこは
残念でしたが、今回良かったのは、以下の3つ。
一つが、ショートバージョンとは言え、「飯炊」が
あったこと、次が、松島で芝のぶさんがお出になった
こと、何より「問詰所」で裁かれるのが、弾正でなく
小助だったこと。
「飯炊き」は、ちゃんとやると「道成寺」の乱拍子レベルに
眠気がくる長さのためか(毒)、最近はカットされがち
(歌右衛門さんの時はだいたいフルでなさっていたらしい)
でしたが、久しぶりに見ました。
やらないと継承されませんしね
ただ、あそこまで待たせた二人が「にぎにぎ」を食べる
シーンがないのはやはり気の毒(汗)
千松は、このところ主要な子役を次々の秀乃介くん
2月の「遠見の敦盛」も素敵でしたが、今月も足の運び、
目線、声とどれも素晴らしく、暫くはお兄ちゃんの
種太郎くんと子役無双状態が続くかも
第二は、弥十郎さん八汐に対しての、時蔵さんの
沖の井&芝のぶさん松島の最強部下コンビ。
2月の「梅ごよみ」でも並びでしたが、もう眼福しか
ありませんし、何より「すわっ」と二人揃って懐剣の
錦袋の紐を緩めての臨戦態勢から、懐剣を錦袋に
収めて紐を括り終えるまでのタイミングがピタリと
同じなシンクロ具合と、裾さばきの美しさとが最高
でした。
因みに、芝のぶさんのお召しの打掛の柄は、「鏡山」で
尾上の打掛、幕切で初の帯の柄に酷似だけど、お芝居の
御約束か、八代目さんのお好みか
第三は、「伽羅~」だと問詰所で、それまで妖術使い
だった弾正が、突然普通の裁判に、被告として神妙に
出廷して、ははぁ、みたいになるのが(明治になって
からの演出らしい)、どうした、ドロドロで鼠にでも
なって証拠の品々を持ち去るか、本人消え去るか
できようものを、となんか勝手にイライラするのが
なくて(笑)、実際、強盗窃盗に殺人の実行犯である
小助と、小助に罪をなすりつけられている、冤罪の
お竹双方出廷して、ちゃんと小助の悪事が露見して
裁かれる、いかにも真っ当に展開は、弾正被告を
見ているよりは納得
さて、この芝居は、「伊達の十役」と銘打つタイプの
早替わりトリッキーを見せる芝居とは違って、 主演
俳優がきっちり三役を演じ分ける、が眼目だとは思う
のですが、八代目さんが本当に演じて似合う役を、
全登場人物から三つ選ぶとすれば、たぶん頼兼、
政岡、勝元。
政岡は勿論違和感なかったですが、正統派爽やか
イメージの八代目さんには、小助だと卑屈な小物感が
薄く、弾正にはまだ凄みにやや欠け、でしょうか。
まあ、弾正については、私が「伽羅~」で凄みのある
弾正を見すぎて、ハードル上がってしまってるのかも
ですが。
一方で、小助の黒幕だった弾正は収まらず、外記左
衛門を斬りつけ、最後に討たれる展開は「伽羅~」
通りですが、まあ、個人的にはこれも「覚えておれ」で
宙のりででも消える方が、前半との辻褄が合う気は
するんですけどね(笑)
最後の最後に権十郎さん大活躍!なのに、勝元さんが
いいとこ全部持ってくのは結構ずるい(笑)
「床下」は、このところ、若干地味目の役が多い萬太郎
さん、渾身のお役
まあ、いきなり出てきてイマイチ意味判らないのは
致し方ないですが(笑)、対する一巻を加えたネズミ
くんに芝居気があり、なかなかカワイイ(笑)し、
随分手足の長い、今時なネズミさんでした
夜は待望、時蔵さんの八重垣姫初役の「本朝廿四孝~
十種香」
濡衣に七之助さん、勝頼に萬壽さん、謙信に芝翫さん、
と言う豪華配役
女武道に、女装の盗賊、主人の仇を討つ忠義な小間
使いと、バリキャリ、運動神経抜群、殺気満々からの(笑)
14歳の情熱だけの深窓の赤姫!
説得力はその指先までの繊細な仕種に集約されていて、
とにかく、座っている姿から、ありえない大変そうな
姿勢キープで、女形さんの隠れたすごさをひしひし
動きが少ないだけに、あ動いた、あ振り向いた、
あ泣いた、と、一挙手一投足に目がゆき、気高さが
身動きしているようでした。
七之助さんは少し前なら間違いなく八重垣姫ですが、
黒衣装の濡衣もお似合い
先代芝翫さんがなさっていたお役が継承された感じ
でしょうか
萬壽さんは、しかしいつまでも若々しい
個人的には、続く「奥庭・狐火」をやらないと、「だから
何なんだ」って感じだな~とは思うのですが(笑)歌舞伎で
「狐火」は重力が邪魔でなかなか難しいなか、いまの
時蔵さんの身体だったら、「狐火」できそうな気は
します(笑)
さて、六月の演目が発表されましたが、ほぼ「萬屋祭」、
でした
時蔵くんが「金閣寺」の雪姫だそうで、また見るしかない
また、夜に大好物の「盟三五大切」
松也くんが漸く「トート閣下の手先」からお帰りなさい、
で勘九郎さんと、源五兵衛と三五郎の役がわり。
どちらも見たいですね
因みに一番下の写真は久々の「めでたい焼き」
気がつけば一個400円
尾頭付きとは言え、高級和菓子です
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