シェイクスピア強化月間(笑)その2「ハムレット」を観る
デヴィット・ルヴォーさん演出で、「ハムレット」を
染五郎くん、オフィーリアを當間あみさんと言う
情報だけで、チケット購入していて、あとの配役は
全部当日知りました(笑)
開演前だけ撮影許可が出ていたので、舞台上のスク
リーン(始まってから可動式と判明)にモノクロームの
波の映像が流されていたのを撮影しましたが、何しろ
日生劇場。
個人的にはベストポジションと思っている2階後方
席からだと、天井や壁の唯一無二の独特の曲線と
ラインが照明に当たって構成されるキラキラな輝きが、
舞台映像の無機質な色の対比で格段にお洒落でした
それにしても初のストプレに「ハムレット」を選び、
これだけのセリフを滑舌だけでなく、きちんと届け
きる染五郎くん、すごすぎる。
先年、千之助くんが「ハムレット」をなさった時も
思いましたが、歌舞伎役者が、叩き込まれ、子ども
時代から舞台で鍛えられまくった、セリフ術をはじめと
するさまざまな演劇技術と、それを普遍化するポテン
シャルは凄まじいの一言。
とにかくあの沙翁の罰ゲームみたいなセリフを覚えて
いるだけでなく、表現し、伝える能力、更に今回の
染五郎くんで言うと、特に踊りから来ているのだと
思いますが、手の表現が綺麗
顔が小さいのかも知れませんが(笑)、手が大きくて
指先までの美しさが際立ちました 。
通例、ハムレットは、燃え尽きるばかり、声が枯れん
ばかりになるか、眉間に皺の、哲学者のように悩み
どうみても行動力欠如、のパターンが多いですが、
染五郎くんのは、独白も、更に俯瞰して物語るような
客観性、冷静さが感じられ、独特でした
クローディアスの石黒さんは、初めて舞台を拝見
しましたが、明らかに「政治家」な一方、ガードルード
には骨抜きと言うのが唯一の弱点なのが判りやすい(笑)
ガードルードは元宝塚の柚光香さん
「イケメン(個人の感想です)パパを捨てて、こんな醜い
(個人の感想です)クローディアスに走るなんて安易な
選択をしやがってっ!」
とハムレットにボコボコに責められるので、意思の
弱い女性として描かれがちですが、柚光さんのガード
ルードは、
「じゃあどうすればよかったのよ!」
と逆ギレする
(ちゃんと台詞にあるんですけどね笑)
しかし考えてみれば、クローディアスがいつから
ガードルードを狙っていたのか(笑)
恐らくはガードルードの実家にも、デンマーク国の
統治に関わる政治的パワーか財産があってのこと
とも思え、また、ガードルードにしても、クロー
ディアスと再婚しなければ、ただの前国王妃、として
宮廷内のパワーを失う。
それを考えると、クローディアスとの再婚にはそれなりに
メリットがあっただろうし、彼女が王妃なら、その
次を、愛する息子ハムレットに受け継ぎやすいと言う、
彼女なりの愛情があったかも
となれば、息子の「言い種」を聞けば、それはないでしょ
と逆ギレするのも意外に納得。
そしてパンフレットのインタビューにありましたが、
最後の最後、毒入りの杯を煽ってしまってからながら
漸くクローディアスの発言に「NO」を言うのをみれば、
彼女なりに息子を愛してたんでしょうね
また、この芝居、台詞量からしてハムレットが一番
多く、ほぼ全ての登場人物と会話するし、どうしても
ハムレットだけ芝居になりがちですが(ただし、鋼太郎
さんがクローディアスをやった時だけは、クロー
ディアスの芝居になってた事はあるけど(笑))、今回は
ルヴォーさんの演出の賜物でしょう、ハムレット&
ホレイシオ、ロズ&ギル、クローディアス&ガードルード、
ポローニアス&レアティーズ&オフィーリア、と言った、
親子、友達、夫婦、と言った関係性が丁寧に描かれて
いたのも印象的でした
ただし、ハムレット親子3人のインパクトが強過ぎて(笑)
普通の上演ならもう少しクローズアップされる、
ロズギル、オズリックなどの「個性派脇役」の影が
若干薄かったかも
特に、三谷さん組のマルチプレイヤー、梶原善さんの
ポローニアス。
こずるさとか、言っている事を100%信じにくいが
世渡りが上手いみたいなキャラクターが似合うか方と
思っていますが、親子3人の存在感に負けて影が薄く、
またポローニアスは、笑いも含めてストーリー的に
重要なセリフをいくつも吐くのに、あまり良く聞こえず
残念でした。
當間さんは、翻弄されるか弱きヒロインにぴったり。
初舞台だそうですが、通る質の声は舞台に向いていそう
現・幸四郎さんも染五郎時代、かなり若い頃に「ハム
レット」を演じておられますが、何より高麗屋さんの
家系で翻訳物舞台、と言えば、やはり染五郎さんの
祖父、現・白鸚さん
ミュージカル「ラ・マンチャの男」は数回やりました、
レベルでなく、「勧進帳」と並んで長く持ち役にされ、
ブロードウェイ公演もされていて、歌舞伎(松竹)と
ミュージカル(東宝)、いわば演劇界の二刀流の大先達。
最近の染五郎くんの声や、化粧の顔を見ると、パパ
幸四郎さんと言うより明らかに白鸚さん似ですし、
幸四郎パパはどちらかと言うと、新感線など、ネオ
時代劇に血が騒ぐタイプのようなので、ひょっとすると、
今後二刀流の血は染五郎くんに行くのかも
そんな染五郎くんにはぜひ、いつか、「リチャード2世」を
演じて欲しい
「2」は、シェイクスピアにしては珍しく、全て韻文で
書かれていて、悲惨な物語なのに、セリフは美麗。
歌舞伎の義太夫ものと共通点のありそう。
死までひたすらbadチョイスを繰り返し、じわじわと
落ち目になり、最終的には王冠を失い、命を落とす
ダメダメなのに、「落ちて行く私よ」みたいセリフで
自分を微妙に他人事のように語るのをぜひ染五郎くんで
見たい(笑)
ともあれ、新しいハムレット役者を見出した素敵な
舞台でしたし、ルヴォーさん、衰え知らず、恐るべし
でした。

































