「没後110年日本画の革命児、今村紫紅展」を見る
今村紫紅は、同時期の日本画家の中では、横山大観、
上村松園などと比べると、世間的知名度はちょっと
低いかも知れませんか、個人的にはかなり思い入れが
ある画家で、今回、久し振りの回顧展が開かれると
聞いて、オーディオガイド付き前売りも買い、会期
早々に勇んで伺いました
明治大正期の日本画作品は、その殆どは、まだ兜町の
本社ビルの上層階にあった頃の山種美術館で接し
知ったものばかり
この時代の作家の中では、横山大観は頭ひとつ抜けて
有名ですが、他にも安田靫彦は緻密で神経の行き
届いた歴史画、菱田春草は独特の朦朧体で、速水御舟は
明確なタッチと鮮やかな色味で、他にも下村観山、
上村松園、竹内栖鳳、奥村土牛、小林古径と芋づる
式に知り、たくさんの代表作を拝見させて頂きましたが
紫紅もその中の一人
兜町時代の山種美術館は、床にふかふかのカーペット、
ビル内にも拘わらず、中に専用階段があって、更に
上の階(8階)は、また違う雰囲気で楽しめましたし、
階段の壁にも由緒ありげな作品が何気なくかざられて
いて、まさに山種さんのサロンに招いて頂いて、
ゆったりした雰囲気で、鑑賞と言うより楽しめて、
結果的に近代日本画の流れは、殆どをここで実物を
見ながら学んだようなものでした
ただ、山種美術館自体が以降に移転×2を経て、今の
広尾に落ち着いてからは、展示の頻度やコンセプトも
随分変わり(美術品保護や消防法とかもきっと変わって、
昔のような展示ができなくなったとか、そう言う事情も
ありそうですが)、どっぷりと一人の作家の作品を
見せる、と言うのも減りましたし、何より、建物も
展示会場も何となくクールで取っつきにくく、余り
足を運ばなくなってはいます。
その兜町時代の展覧会の中でも、今でもはっきり
覚えているのが、この今村紫紅。
確か三ヶ月に分けての大回顧展があり、毎月通っては
一ヶ月ずつ、栞サイズの月替わりで柄の違う紙の
チケット半券を楽しみに頂いたものです。
他の日本画家たちが、比較的オーソドックスで正統派な
技法で、歴史画や花鳥風月をテーマにしていたのに
対して、紫紅はキャリアの前半(といっても36年で
亡くなる)はともかく、南画と琳派を採り入れた後半の
画風は、「近江八景」、そして「熱国の巻」に結実した
そのポップさと明るさが独特で、強く印象に残って
いましたが、長らく回顧展もないな、と思っていたら、
今回のが、まさにその兜町時代の山種以来、だそうで
全く滝汗ものです
ちなみに今回、なぜ横浜美術館で紫紅展かな?、と
思っていたら、紫紅自身が神奈川(馬車道辺)の生まれで、
かつ彼の最大の理解者であり支援者が、横浜「三渓園」
でも有名な、生糸で財をなした実業家でありコレクターの
原三渓だったからで、二重に横浜に縁がある方でした
展覧会は、紫紅の残した言葉をキーワードにして、
初期から早すぎる晩年までを丁寧な解説文を添えて
あり、向井理さんのオーディオガイドもお供に、
久し振りにどっぷりと紫紅ワールドに浸からせて
頂きました
最大のお目当てであった「熱国の巻」は今回、上巻の
「朝」がど~ん!
平日とは言え、集大成であり代表作で、絵巻だけに、
前の人が進まないと見れないとなぁと心配してましたが、
意外にあっさり拝見できて寧ろ拍子抜け(笑)でしたが、
本当にお久し振りの「対面」でした
まあ、一般的な同時期の日本画との乖離と言うか
ぶっ飛び具合は、やはりなかなかなもので(笑)、
パトロンの三渓さんも、仕上がりを見て、流石に
かなり辛口評をしたと言うのも然もありなん、ですが、
であれば逆に、インドまで行くと言われた時に、
三渓さんはどんな絵を取材してくると紫紅さんに
期待されていたのでしょうか?(苦笑)
東山魁夷さん的な、that's仏像画とか?
(無理無理)
因みに、ビジュアル的に最高に可愛かったのは、
鞠の神様の化身である、と言う両手で丁寧に白い鞠を
抱えた「鞠聖図」の子猿で、「枇杷二鶯」の可愛い小鳥
共々、フワモコチャームグッズになっていましたが、
チャーム、といっても事前にネットでイメージして
いたより、どちらもかなり大きめ、でお連れする
決断できず(笑)
因みに、こちらの展覧会、撮影不可の表示「以外」は可、
でした。
以前は展覧会作品は「不可」が当然でしたが、最近は
SNSの拡散期待なのか、「以外は不可」とか、展覧会
ごとにルールがバラバラになってきました
(だいたい不可なのは、他館所有品、重文などの指定)
とは言え、どちらも最初にきちんと、かなりはっきり
判るように表示は必要な気はします。
その館での「基準」はその館では当然でも、来館者には
どっちか判らない
周りの人が撮影して誰も咎めないのを見て「あ、ここは
OKなんだ」と判ることもよくあります
しかもこちらは展示室ごとにドアがなく、展示室
同士は中回廊で繋がるセミオープンな構造なので、
更にルールが曖昧に感じました
写真の「鞠聖図」「熱国の巻」は、勿論、撮影可作品。
しかし、「熱国の巻」の長さはなかなか伝わりませんね
ともあれ、久し振りの紫紅展、楽しかったですが、
このペースだと次の回顧展の時は、間違いなく生きて
ないでしょうね(笑)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。








コメント