



松竹座から国立文楽劇場は歩いて15分くらいの距離で、ハシゴするには
素晴らしく良い立地(笑)
ちょっと寄り道して新しくなったと言う「グリコ電飾看板」見ましたが、
夕方で、ウリのLEDライトが点いてないので、違いがあまり良く判らず…
劇場入口には東京の劇場では余り見ない、生の鯛が「にらみ鯛」として、
二匹向かい合わせに置かれていました
(黒門が近いからでしょうか…)
文楽は私の「伝芸」中では見始めが遅く、女子の声も良いトシのおじさん
(失礼)がなさる、と言うのと、人形遣いの姿が気になると言うのが結構
ハードルでなかなか面白さが判らなかったのですが(動く人が演じてない
ので集中できないのもある)、今回は見てみて、昼の歌舞伎より集中でき、
自分でもびっくりな面白さでした。
演目は最初が「日吉丸稚桜」(ひよしまるわかきのさくら)から「駒木山
城中の段」
話全体はどうやら木下藤吉の出生から桶狭間までらしいのですが、ここ
では色々人間関係がぐちゃぐちゃした挙句(苦笑)、藤吉が主君・小田春永に
面目も立ち(いつも通り?の身代わり作戦)、鍛冶屋の倅の竹松が加藤正清
として藤吉に取り立てられるまで。
(人名が実名とわざとずらしてあるので厄介)
見所は、藤吉の部下?堀尾茂助と、奥さん・お政と、お政の父の鍛冶屋
五郎助(つまり茂助の舅)のやりとり。
お政を遣うのが簑助さんだけに、なにかある、と思っていたら、やはりで、
どんな役も簑助さんが遣われると生身の上品な色気が出ますね〜
最初からガンガン人物が登場するので、頭が混乱しましたが、判ると家族の
情愛と義理の、判りやすい構造で、75分程度の一幕物でもあり、とても
面白く見ました。
幕間に三業から一人ずつ若手さんが出ての、手ぬぐい抽選会。
無論?外れましたが、「上演中に(干支の)羊は数えないように」とか
「イビキはマナーモードでお願いします」とか、素の顔でおっしゃるのが
流石でした(笑)
更に面白かったのが、次の「冥土の飛脚」
「封印切」が有名で、歌舞伎でもよくかかりますが、見ていたら、これ、
近松が書いたオリジナル(笑)の方で、所謂歌舞伎の「封印切」で悪役の
八右衛門が友人思いのイイ奴で、寧ろ忠兵衛さんが、本当にダメ男。
金持って蔵屋敷に行くつもりが「足が勝手に梅川のいる新町に向く」
とか、挙句、八右衛門の好意を逆恨みして封印切っちゃうとか駄目すぎ(笑)
確かに改作したと言う「恋飛脚大和往来」に比べると地味だけど、リアルで
私は非常に面白かったですし、何より最初判ってなくて八右衛門いい人から
一気に裏切る?とか勝手にドキドキしてました。
(羽織落としの仕掛けとか、野良ワンコの人形がかわいかったし)
梅川が彼氏を「アタシが何とかしたげる!」と言うのが、却って忠兵衛
くんの(安っぽい)プライドを傷つけたと言うイヤホンガイドの解説にも
納得。
因みに忠兵衛は玉女さん、梅川は勘十郎さん。
勘十郎さんの梅川ちゃんが、いい感じにケバい感じがあって面白かったです。
帰りの新幹線の関係で最後の「道行」は端折らせていただきましたが
十分堪能できました。