

新橋演舞場。
30代役者メインに先月に引き続き福助さんがサポートの「花形」公演
昼はまず新作歌舞伎「西郷と豚姫」
歌舞伎の外題に「豚」もないものですが(笑)、タイトル通り幕末の京都で、幕府
からも藩からも疎まれる西郷とその西郷を慕う巨漢の仲居・お玉の物語。
追われる西郷は、その西郷を慕ったところで報われないと思い詰めるお玉に
「いっそ二人で死ぬか」と話がまとまりかけたところに、大久保の尽力で、西郷
名誉回復、早速江戸へ談判へと100両渡されると、西郷あっさり前言撤回(笑)
お玉に99両渡して江戸へ勇躍ご出発。見送るお玉。
え?これで終わり?
それで良いのか、お玉ちゃん。
あんたのカレシはいわば思った仕事ができないから死のうとしただけで、別に
玉ちゃんに同情した訳ではなかったんじゃなかったんじゃん、と。
西郷の心中→名誉回復であっさり心中中止の展開が早すぎて、感傷にふける間も
なくびっくりでした。
ま、びっくりと言えば配役が一番のびっくりで、西郷を獅童くんがやってました。
恒例のあの扮装、あの顔、あの体格に作っているのでちょっと見誰だかさっぱり
判らないほど。
薩摩ことば(風)をもこもこと喋るので、上手いんだか下手なんだか良く解りま
せんし、誰がやってもそれらしくはなりそうですが、ともあれ化けっぷりはなか
なかのものでした。
考えてみたら、こう言う役を今の若手でやれそうな役者さんはいそうでおらず、
古典の大役やるには同年代にやや(かなり)後れをとっている獅童くんには、
ニッチと言っては失礼かも知れませんが狙い目なのかも。
お玉は翫雀さん。
襲名前の勘三郎さんがなさったのも納得の愛嬌のあるキャラクターでした。
また先月の顔世に続いてここでも松也くんの芸者岸野が抜群の出来。
年齢に似合わぬ(誉めてます)蝋たけた色気が素晴らしかったです。
しかもまだ3日目だったとは言え、冒頭に出てくるお喋りな仲居の役者が全然
セリフを覚えてなくて、3階まで聞こえるプロンプを待つため、間が抜けまくって
失笑は出るわ、芝居が壊れそうだったのを松也くんが救ってくれたようなもの
でした。
三味線を弾く姐さん役で芝のぶさんも出演さされていましたね〜。
次は「紅葉狩」でしたが、舞踊よりはと一旦外へランチ。
最後が愛之助さん東京初の「女殺油地獄」
お吉は福助さん。
いや、本当に仁左衛門さん似。
しかもまだ二人とも若いので、殺し場が容赦ない。
勿論決まりごとがあり、段取りがあるのは判っていますが、それでも見ている
こちらが心配(笑)する必要がないのは気が楽です。
また、義父・徳兵衛役の歌六さん、母・おさわ役の秀太郎さん、豊嶋屋七左衛門
役の翫雀さんと周囲もガッチリ。
まあ与兵衛が屈折より陽気なわがままにだけ見えたのは役者の資質か。
ここでもは芸妓・小春役の松也くんが綺麗だったのど、小栗八弥の児太郎くんが
凛々しく印象に残りました。
芝居としてはこの「豊嶋屋の段」が見所ですが、個人的にはどうも殺人やりっ
ぱなしは今ひとつ。
文楽で前に見た、次の犯人判明の件もあって初めて完結かなぁとは思います。